「変速比」
「減速比」
これらの言葉はクルマのカタログに記載されている、クルマの性能を表す物です。
変速比と減速比という言葉の違いは、どの部分であるか?という事だけです。
どちらも同じ基準における数字で表される言葉です。
まず基本的な部分からお話ししていきましょう。
ここでは一度、減速比という表現を無視して「変速比」という表現に統一してご説明しますね。
まず、変速比は元となる「回転数」という物を基準に考えます。
一番イメージしやすい恒例の「自転車」でお話ししましょう。
自転車を乗る際、かならず「ペダル」をこぎますよね。
でもよ〜く思い出してください。
自転車には、ペダルの根元にギヤがあります。(前のギヤと表現します)
さらに、後ろのタイヤにもギヤが付いていますね。(後ろのギヤと表現します)
これら2つのギヤをチェーンでつないでいます。(最近はベルトもありますが無視)
この2つのギヤの大きさを見比べた事がありますか???
きっと大きさが違うはずです。
どうして大きさが違うのでしょうか???
それは、「変速比」を生み出すためなのです。
例えば、
・前のギヤの歯数が15
・後ろのギヤの歯数が45
だとしましょう。
自転車のペダルをこぐと、前のギヤが回り、チェーンを介して後ろのギヤ(タイヤ)が回されますよね。
言い換えると、
「前のギヤが後ろのギヤを回す」
「後ろのギヤが前のギヤに回される」
と言えますよね。
変速比というのは、
【回されるギヤの歯数を回すギヤの歯数で割る】
ことで算出されます。(回りくどい表現ですね〜)
つまり、上記の例ですと、
「45(後ろ)÷15(前)=3(変速比)」
となります。
この「3」という数字の意味は何かというと…。
馬力とトルクの違いでお話しした「トルク」と言われる力の変化を表します。
せっかくですので、もう一度変速比の基本をお話ししておきましょう。
まずは、2つの歯数の異なるギヤ(歯車)を思い浮かべてください。
その2つのギヤ(AとB)をかみ合わせてギヤAを1kgの力で回転させます。
この時、ギヤAの歯数は10、ギヤBの歯数は20だとします。(イラストの歯数は無視してください)
変速比の基本
単純に、ギヤA(10)を2回転させるとギヤB(20)は1回転する事になります。
つまり初めのギヤAの回転数は、Bに伝わる事で1/2になる事が分かります。
それに伴い、初めは1kgの力で回した力がギヤBからは2kgの力が発生する事になります。
つまり回転数が1/2へと減ってしまった代わりに、力(トルク)が2倍になったのです。
この時の変速比を「2」と表現します。
変速比の計算方法は、
「受動÷駆動」
つまり、先ほどのギヤの例だと
「Bの歯数÷Aの歯数」
です。
それでは話しを戻し、先ほどの変速比が「3」の場合のペダルをこぐ力が30kgだとすると、
30kg × 3 = 90kg
となり、入力した力(こいだ力)に対して3倍になるのです。
「力が増えるって凄い便利だよね???」
いやいやちょっと待ってください。
力が増えた分、逆に減るものがあります。
それは「回転数」です。
上記例ですと、回転数は変速比である3で割ればよいのです。
ペダルを1回こいだら、
1 ÷ 3 = 1/3回転
となるのです。
実際の自転車では先ほどの例とは逆の変速比を採用している場合が多いですね。
つまり変速比を落としてペダルを1回こいだ分に対するタイヤの回転数を上げているのです。
ただしペダルをこぐ力が多く必要となってしまいますがこれは仕方ありません。
自転車を乗る際、タイヤの回転数と同じだけペダルをこぐとなれば非常に疲れます。
そこで、変速比を用いてペダルをこぐ回数を減らしているのです。
その代償として、ペダルをこぐ力が少し重くなっているという事です。
この変速比を、状況にあわせて変化させているのが「多段変速式」の自転車です。
坂道を登る時や発進時の時には、当然ですがペダルをこぐ力が多く必要です。
多少ペダルをこぐ回数が増えたとしても、こぐ力を軽減させたいという状況です。
つまり、変速比を上げてやれば
「トルク(力)は増 回転数は減」
となります。
変速比を上げるには、2パターン考えられます。
まずは、前のギヤを小さなギヤへ変化させる事です。
後ろのギヤの歯数が30だとすると、
30(後ろ) ÷ 45(前) = 2/3
30(後ろ) ÷ 30(前) = 1
30(後ろ) ÷ 15(前) = 2
といったように、どんどん変速比が上がっていくのがわかりますね。
つまり、「ペダルをこぐ回数は増えるが力は少なくてすむ」のです。
では逆に後ろのギヤを大きなギヤに変化させて見ましょう。
前のギヤの歯数が15だとすると、
15(後ろ) ÷ 15(前) = 1
30(後ろ) ÷ 15(前) = 2
45(後ろ) ÷ 15(前) = 3
となりますね。
状況にあわせてギヤをチェンジするという事は、「変速比を変化させる」事です。
自転車の多段変速式というのは、
「前のギヤ3種類 後ろのギヤ7種類」
といったように、前と後ろのギヤの組み合わせで一番理想的な変速比を選択するという物です。
単純に、「3×7=21種類」もの変速比を選択できる事になります。
3段変速といった、おおまかな変速機構付きの物でも考え方は同じです。
前のギヤを入れ替えるのか、後ろのギヤを入れ替えるのかの違いだけです。
変速比がわかってきましたか???
変速比は、
・大きければ力は強いが回転数が減る
・小さければ力は弱いが回転数が増える
これが基本です。
これをクルマに置き換えてみると、なるほどと言える部分があります。
エンジン回転数が3000回転の時、1速と3速とで比べてみましょう。
・1速3000回転の時は、時速が20キロしか出ないが、坂道でも簡単に登る
・3速3000回転の時は、時速が60キロも出るが、坂道だと減速してしまう
つまり、
『ギヤが低い(1速に近い)ほど変速比が高く、ギヤが高い(1速から遠い)ほど変速比が低い』
のです。
変速比がちょっと理解できてきた所で、私の手元にある車のカタログ(2006年モデル)を使って
少し遊んで見ましょう。
車種は、国内の馬力自主規制を初めて突破した「HONDA レジェンド」です。
このクルマはFF車(前輪駆動車)で、状況に応じて4WDになります。
(「・・)ドレドレ..
【変速比】
1速:2.697
2速:1.572
3速:1.071
4速:0.729
5速:0.530
後退:1.888
【減速比】 ※どのギヤの時でも必ず利用するギヤの変速比の事です。
4.375 / 3.375(前/後) ⇒後ろというのは、4WD作動時の後輪です
【最大トルク】
36.0kg・m (5000回転時)
と書いてありますね。
では早速、この数字を使って計算して見ましょう。
ギヤが4速でエンジン回転数が5000回転(最大トルク発生)の時ですと、
(0.729(4速の変速比) × 4.375(減速比)) × 36kg(トルク) = 114.8kg
と出ますね。
つまり、この時のタイヤの回転力(トルク)は114.8kgの力で回転している
という事になります。
とは言っても全く実感が沸かないですよね(笑)
それよりも、回転数を計算すると非常に分かりやすいですよ。
※エンジン回転数は「毎分」を意味しています。
※小数点以下は適度に省略しています。
それでは計算してみましょう。
5000回転 ÷ (0.729 × 4.375) = 1567回転(1分間のタイヤの回転数)
この時のタイヤの直径が60センチだとすると、
0.6m × 3.14(円周率) = 1.9m(タイヤの円周)
つまり、
1.9m × 1567回転 = 2977m(1分)
時速換算すると、
約3.0km × 60分 = 180km!
むむむ。
恐ろしいスピードになりましたね(笑)
あくまで理論値なので正確な数値ではありませんが、これに近いスピードが
出る事が予想できますよね。
変速比は「ギヤ比」と表現されることもありますが、両方とも同じ意味ですので
特に変わった解釈は必要ありません。
この変速比を利用すると、カタログ上でそのクルマの時速を計算できるのです。
かなり長々と難しいお話しを続けてきましたので若干の解釈の違いなどがあるかもしれません
がご了承くださいね(汗)
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