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馬力とトルクの違い


馬力とトルクとは、クルマの性能を数字で表す際に使用されるものです。

クルマのカタログなんかを見ると必ず書いてあります。

あるクルマのカタログを元に例を挙げてみますと、


【最高出力】  (kW [PS] / rpm):114 [155] / 6,000

【最大トルク】 (N.m [kg・m] / rpm):188 [19.2] / 4,500



このように表示されています。

まさに

「???」

ですよね。

【最高出力】の中にある、「PS」という部分が「馬力」と呼ばれる部分です。
単位の変更で、今は「kW(キロワット)」が使用されるようになっていますが、昔から親しま
れている「PS」の方がわかりやすいといった事で、なかなか浸透していないのが事実です。
これは【最大トルク】の中にある「N.m」と「kg・m」の違いも同じです。

一番浸透している単位を使ってここでは説明していきますね。


上記の文字列を細かく説明しますと、

最高出力は6000回転(rpm)の時で、その時のパワーは155PS(馬力)

最大トルクは4500回転(rpm)の時で、その時のトルクは19.2kg・m(トルク)


となります。

馬力が大きい方がクルマが速いといった感覚はなんとなくわかる方が多いと思いますが、
「トルク」とは一体何なのでしょう。


この数値が大きければ「速い」のでしょうか?


非常に難しい所ですよね。

「なんとなく分かるけど説明できない…。」

といった方が多いのではないでしょうか。
かくいう自分も非常に説明が難しい部分だと認識していますので、四苦八苦しながら説明
していきたいと思います。


まずは「トルク」という部分に焦点を合わせてご説明していきます。


トルクという言葉を日本語に変えてみると「軸の回転力」となります。

すなわち回転しようとする力なんです。
トルクが大きいという事は、回転しようとする力が大きいとなりますね。


では回転しようとする力が大きければ速いのか?

それは違います。

なぜなら、どれだけ力が強くても回転数が伴わないと速くは無いですよね。

どれだけクルマを動かすパワーがあっても、前に進めないと意味が無いんです。
極論を言えば、

「回転力(トルク)が強くて回転数が速い」

これが最強です。

しかし残念な事に、これを両立させる事はきわめて困難です。


ある完成されたエンジンがあるとします。

このエンジンのトルク(力)を強くしようとすると回転数が減り、逆にトルクを弱くすると
回転数が増えます。
※ここでいう「回転数」とは「前に進む力」と捉えていただいた方が分かりやすいと思います。

この原理は馬力とトルクの関係だけに留まらず、非常に多くの部分で関係します。
マフラーの太さと細さにおけるメリットの違いもこれと似ています。

どちらかを優先させるともう一方が犠牲になる。

これはいつまでも技術者達に付いて回る自然の法則でしょう。


身近なもので例えるならば、変速機構(ギヤ)付きの自転車ですね。

一番軽いギヤに設定していると、ペダルを踏む力は非常に軽く(弱く)ても良いのですが
全然前に進みませんよね。

これを難しく分析すると、

「トルクを強くしたために回転数(前進力)が弱くなった」

となります。


街中を走っているトラックやバスなどは、非常にトルクが強いんです。
でも決して速くは無いですよね。(加速が弱い)
トルクを非常に強くして荷物を運ぶ力を得る代わりに、前に進む力が犠牲になってしまっている
典型的な例といえます。

もしトラックなどのトルクを維持したまま回転数が伴えば、とんでもない乗り物になります。
乗客がまともに立っていられないような加速をするでしょう。

まさに最強ですね。


ここで少しわき道にそれますが、加速が良いというのは回転が上までスムーズに
上がっていく事、つまりは強いトルクを維持して回転数が上がる事によります。

回転数を非常に高く設定してあるクルマでも、トルク(力)が無ければスムーズ
に回転を上げれませんよね。(回転を上昇させる力が無い)

逆に、トルクが高いと加速が良いといった通説がありますが少し違います。
トルクがあり、さらに最高回転数が伴う事でようやく加速が良いと表現できます。



速いという表現だけにこだわるとトルクのイメージが悪くなりそうですが、高級車などは
かなり高確率でトルクが高い傾向があります。

それは、「乗り心地・ストレスフリー」という視点がベースになるからでしょう。

トルクがあるという事は、それだけ力があるんですよね。

つまりトルクがあると、発進時や坂道を登る時に力不足を感じさせないのです。

また、高級車に採用されているエンジンでは、トルクに加えて回転数も伴うように
作られています。(だから高いのですが…)

つまり、めちゃくちゃ速いんです。

トルクを大きくする事で回転数(前進力)が弱くなった分、回転数を増やして補えば
良いといった感覚でしょうか。

とは言っても、回転数を増やすにも限界がありますよね。

・回転数を増やした状態でもトルクが十分にある。
(トルクを犠牲にした状態でもトルクが十分あるともいえます)

つまり、根本的なエンジンの性能が重要になってくるのです。


エンジンの性能とは言っても、先述したように「トルク」と「回転数」のように
非常に多く比べる要素があります。
しかし混乱を防ぐ為、トルクと回転数に話しを絞って話しを進めていきます。


トルクが20で最高回転数が4500(エンジンA)

●トルクが15で最高回転数が5500(エンジンB)



さて困りましたね。
どっちの方が「速い」エンジンなのでしょうか…。

トルクがあった方が力は強いので良さそう…。
でも回転数が伴わないならいまいちかな…。


ここからが重要です。

なんとなく今まで煮え切らない感覚で文章を読んできた方も多いと思いますが、

「トルクと回転数」

この大きな二つの要素を盛り込んだ単位、これこそが「馬力」なのです。


先述したように、エンジンの性能は「トルク」と「回転数(前進力)」に大きく
分けることができます。


AとB、どちらの性能が良いかを比べるためには、分ける前の性能が分かれば
性能を比べる事ができると思いませんか?



それこそがまさに「馬力」なのです。

ちなみに先述の例ではAエンジンの方が性能(馬力)は上と判断できます。


(〃´o`)=3 フゥ〜


文章ばかりでかなり頭がパンクしかけていませんか!?
かくいう私も現時点でどこまでお話ししたのか分からなくなってきちゃいました(笑)

とりあえず、ここまでで把握しておくべき事をまとめてみましょう。


「トルクとは回転する力であり、回転数が伴わないと速さ(加速力)が伴わない」

「トルクと回転数を盛り込んだ単位が馬力である」



この二つさえ把握していれば最低限大丈夫でしょう♪

それでは次に行きますよ〜。


「馬力とはトルクと回転数を盛り込んだ単位である」

と表現しましたが、一体どういう事なのでしょうか。

まずは、馬力の算出方法からお話ししていきます。


・馬力=トルク×回転数×定数(0.001396⇒約0.0014)

他には

・1馬力=体重75kgの人が1秒間に階段を1mずつ駆け上がったときの力

と定義されています。

計算式にある定数に関しては深く追求しないでくださいね。(私自身追求した事が無いので分かりません)

定義はどうであれ、この馬力をどの様に解釈するかですが…。


まず、簡単な例を挙げて計算してみましょう。


エンジン回転数が2500rpmの時に36kgのトルクを発生しているエンジンがあるとします。
これを元に計算してみると、

36kg×2500rpm×0.0014=126馬力…エンジンA

となりますね。

次に、5000回転の時に18kgのエンジンだと

18kg×5000rpm×0.0014=126馬力…エンジンB


おや?

同じ馬力になりましたね。

それもそのはず、エンジン回転数とトルクの変化を比べてみてください。
エンジンAとBを比べると、トルクは1/2で回転数は2倍になっています。

この回転数におけるエンジンAとエンジンBの性能は同じといえますね。


実は。。。


トルクと回転数には非常に密接な関係があるんです。

あるエンジンでタイヤのトルクを2倍にしたければ、タイヤの回転数が半分になるように
ギヤ(変速)を使って回転数を1/2に減速する。

これだけで良いのです。


ちょっと難しくなりましたか???

もう少し崩して説明していきますね。


これらは「変速比」と呼ばれる計算方法であり、クルマのカタログにもしっかりと掲載されています。

・変速比

・減速比

とカタログに記載されている部分です。(ギヤ比とも言います)


変速比の基本をご説明しますと、2つの歯数の異なるギヤ(歯車)を思い浮かべてください。

その2つのギヤ(AとB)をかみ合わせてギヤAを1kgの力で回転させます。
この時、ギヤAの歯数は10、ギヤBの歯数は20だとします。(イラストの歯数は無視してください)


変速比の基本変速比の基本


単純に、ギヤAを2回転させるとギヤBは1回転する事になります。

つまり初めのギヤAの回転数が1/2になる事が分かります。
それに伴い、初めは1kgの力で回した力がギヤBからは2kgの力が発生する事になります。

つまり回転数が1/2へと減ってしまった代わりに、力(トルク)が2倍になったのです。

この時の変速比を「2」と表現します。

変速比の計算方法は、

「受動÷駆動」

つまり、先ほどのギヤの例だと

「Bの歯数÷Aの歯数」

です。


この変速比を利用すると、カタログ上でそのクルマの時速を計算できます。
話しが反れるのでそれはまた今度という事で。


変速比(歯数の設定)を活用する事で、トルクと回転数というのは自在に割り振る事ができる
事がお分かりになったと思います。

さて馬力の話しに戻りましょう。

最高出力が

・トルク:30kg 回転数:4700rpm …エンジンC

・トルク:15kg 回転数:7000rpm …エンジンD


この二つのエンジンがあったとしましょう。

非常にわかりにくいですよね。
なんとなくどちらの方が性能が上かお分かりになる方もいらっしゃると思いますが、
どの程度性能の差があるのかを比べる事は非常に困難だと思います。

だからこそ、「馬力」という単位が便利なのです。

上記の例ですと、

エンジンC⇒約200馬力

エンジンD⇒約150馬力

となります。
エンジンCは、エンジンDに比べて4/3倍性能が上と判断できるのです。

200馬力であるエンジンCのエンジン回転数を、エンジンDと同じ7000回転になるように
ギヤを活用した変速で改良を行いますと、

トルク:20kg エンジン回転:7000rpm

となり、見事に性能が4/3倍になっている事が分かります。


つまり、馬力さえあれば変速比を利用することで非常に活用範囲が広がる奥行き
を持ったエンジンになる
のです。


「非常に高回転まで回るエンジン」

という物がありますが、これは回転数だけに捉われると素人です。

高回転という特徴をギヤを使って低回転に落とせば、高トルクエンジンに早変わりですよね。


エンジンの性能を決めるのは馬力であり、馬力をギヤの変速比を利用して高回転型
や低回転で高トルク型などの性能に目的に応じて割り振るのです。



「ちょっと待って!トラックなんかはすごい馬力があるけど別に速くないよね?」


いい所に気が付きましたね〜。

逆に言えば、原付だと10馬力に満たない物がほとんどですがそんなに遅くはありません。
私がレースに使用している原付は、10馬力少々でしたが140キロものスピードが出ていましたし、
加速も下手すると車より速かったです。

これは一体どうしてなのか?

答えは簡単です。


「重さ(車両重量)」


です。

いくら500馬力あっても、クルマ本体の重さが10000kgあれば1馬力当たり
にかかる重さというのは

10000kg ÷ 500馬力(ps) =20kg/ps

となりますよね。

これを「パワーウエイトレシオ」と言います。

レーシングカーなどは、ものすごく軽く作られている事は有名ですが、まさにこの
パワーウエイトレシオを考慮しているのです。
パワーウエイトレシオは、加速に大きく関わります。

私の原付は車重がおよそ70kgで10馬力でしたから、

70kg ÷ 10馬力 =7kg/ps

となり、先ほどの500馬力のクルマよりも3倍近くの加速があると考えられます。


カタログでクルマの性能を見る際は、馬力だけに捉われずに「車両重量」もしっかり
と確認しましょうね。

単純に「車両重量÷馬力」が小さいものほど加速が良い(速い)と言えます。

かなり長々と難しいお話しを続けてきましたので若干の解釈の違いなどがあるかもしれません
がご了承くださいね(汗)






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