ホイールアライメントと聞いて何をイメージしますか?
カタカナばかりでいかにも難しそうなイメージでしょうか(笑)
ホイールはその名の通りタイヤ部です。
では「アライメント」は?
直訳すると「整列」となります。
という事は、
「タイヤ部の整列」
となりますよね。
私も車について勉強をするまでは全く知らなかった事があります。それは、
「タイヤは真っ直ぐに取り付けられていない」
という事です。
ご存知でしたか?
この真っ直ぐというのも、進行方向に対しての真っ直ぐという意味と上下方向の真っ直ぐ(垂直方向)の
両方の意味があります。
簡単に理解するために、クルマを真上から見た姿をイメージしてください。
全てのタイヤが真っ直ぐ向いていると思いきや、実は「ハの字もしくは逆ハの字」になっているのです。
トーイン
イラストの例は分かりやすいように極端に内側を向けていますが、実際には数ミリ単位で
ハの字になっています。
次にクルマを真正面から見たとしましょう。
この場合も、左右のタイヤは垂直方向に対して「ハの字もしくは逆ハの字」になっているのです。
ネガティブキャンバー
こちらのイラストも極端にハの字にしていますが、レースなどのスポーツ走行を見込んだ車で
実際に見かける角度もこれくらい傾いています。
稀に見た目重視?のためにキャンバーをつけているラグジュアリーカーもありますね。
「なぜ?」
という意見はもう少し待ってくださいね。
一般的に、タイヤは進行方向に対して左右が平行、垂直に付いていると思いませんか?
少なくとも私はそう思っていました。
でも事実は違っていたんです。
目で見てすぐに認識できるほどの角度ではありませんが、数ミリという単位で
角度が付けられているんです。
1枚目のイラストのように真上から見て「ハの字」になっていることを『トーイン』と言います。
逆に『逆ハの字』になっていることを『トーアウト』と言います。
2枚目のイラストのように正面から見て「ハの字」になっていることを『マイナス(ネガティブ)キャンバ』、
「逆ハの字」になっていることを『プラス(ポジティブ)キャンバ』と言います。
他にも多くの角度が付けられているのですが、これらの『トー』と『キャンバ』が非常に有名です。
ホイールアライメントを感じる、誰もが経験した事がある例を一つあげましょう。
それは交差点などでハンドルを切って曲がったあとです。
交差点を曲がった後、ハンドルを自分で戻さなくてもアクセルを踏み込めばある程度自動的に
元の直進状態に戻りますよね。
これは意識的に付けられた角度のおかげです。
これは主に『キャスタ』と呼ばれる角度を付けているから発生する現象です。
車のタイヤにあらかじめ計算されて設定されているトー、キャンバ、キャスタなどを総称して
『ホイールアライメント』と言うのです。
どうして角度をつける必要があるのでしょうか?
先ほどお話しした『キャスタ』は、ハンドルの復元力を与えるために付けられている角度です。
難しく言えば、「直進安定性を与えている」とも表現できます。
クルマはハンドルを放してもほぼ真っ直ぐに走り続けます。
これは主に「キャスタ」の効果によります。
この「キャスタ」はハンドルを真っ直ぐに維持しようと働くのです。
つまり、交差点を曲がるためにハンドルを切ってもハンドルから手を離せば元の直進状態に戻ろうと
働いているのです。
もしこのキャスタが無かったら、運転は非常に忙しく怖いものになります。
普通に直進していても、タイヤ自体が直進しようとはせずに路面の凸凹のたびにハンドルが取られて
しまう事もありますので大変危険とも言えます。
タイヤ自体が直進しようとしてくれる事で、直進している時にはほとんどハンドルを意識する必要がないんですね♪
他の『キャンバ』と『トー』は詳しく説明してしまうと大変混乱を招きます。
かくいう私も今でも勉強中なのですが、本当に奥が深くてパニック状態と言えます。
でも無視する事はできませんので、簡単に説明します。
まずはトーですが、これは大前提としてトーインに設定されている事にします。
※サーキット走行などのセッティングではトーアウト設定もしますが、当サイトでは無視します。
トーを内側に設定することにより、常に左右のタイヤは内側へ行こうという力が働きます。
道路が完全に平坦で凸凹なども無い状態であればこのような設定は必要ありませんが、実際の道路は
うねりがあったり傾いていたりしますよね。
これらの路面状況の変化によって車が外向きに行こうとしたとしても、トーインの力によって直進安定性が
保たれるという事です。
とは言っても、あまり極端なトーインに設定してしまうとタイヤの偏摩耗を促進してしまう事になりますので、
偏摩耗を起こさない程度のトーイン設定になっています。
つまり大きなうねりなどではどうしてもトーインで吸収しきれないので、必然的にハンドル操作で車の直進を
保つ必要があります。
次にキャンバですが、昔の車と今の車とでは考え方が大きく変わります。
キャンバの根本的な考え方は、「タイヤと路面が可能な限り真っ直ぐに接地する事」です。
昔の車、特にトラックなどでは荷物を乗せる事でタイヤのキャンバ角が大きく変わり、ネガティブ方向へ
変化する特性がありました。
そこであらかじめポジティブキャンバを設定しておく事で、荷物を乗せた状態でタイヤが真っ直ぐに接地する
状態を作っていました。
しかし今の車はサスペンションシステムの進化によって先述したような状況にはあまりなりません。
そこで車の旋回性能の向上を目的とした設定であるネガティブキャンバが主流となっています。
あらかじめネガティブキャンバに設定しておく事で、旋回によって発生する遠心力で車体がロール(傾く)しても
タイヤの接地面が真っ直ぐになります。
右旋回時のキャンバ変化
イラストでは右に旋回(右折)した時の車の動きを表しています。
遠心力によって車が傾き、イラスト右のタイヤが丁度真っ直ぐになっているのが分かりますね。
旋回時は外側のタイヤ(この場合はイラスト右)に主に荷重が掛かりますので、非常に理にかなった
キャンバ設定と分かります。
このようにネガティブキャンバは旋回時も安定したグリップが発生し、旋回性能が向上するのです。
今回は少し難しかったですね…。
でもあえて難しい「ホイールアライメント」をなぜ題材にしたかというと…。
タイヤの角度の重要さを認識していただきたかったのです。
角度が付いているという事は、角度を変化させる事が可能な構造になっているのです。
そしてこの角度は意外とすぐに変化してしまいます。
例えば…。
縁石にタイヤをぶつけてしまった!!!
これだけでホイールアライメントが変化してしまう事があるのです。
例えば前の左側のタイヤを強く縁石にぶつけたと仮定しましょう。
左のタイヤは大きく内側(右)に角度が付いてしまいました。(トーの変化)
右のタイヤはほぼ直進状態です。
左のタイヤは一生懸命、角度が付いている分だけ右(内側)へと曲がろうとします。
しかし他のタイヤ(前の右と後ろの左右)は直進しようとしているのでとても逆らうことはできません。
つまり、左の前タイヤだけが少し右に角度が付いた状態で無理矢理直進し続ける事になります。
タイヤは本来転がるものです。
それが、左の前タイヤだけが不自然な状態で引きずられる事になるのです。
「なぜか前の左タイヤだけ消耗が早い」
こんな症状になってしまう事が容易に想像できますよね。
ホイールアライメントの狂いは、タイヤの減り方ですぐにわかるのです。
引きずられたような減り方はまさにこの『トー』の狂いが多いですね。
他にもクルマを正面から見た角度、『キャンバ』の狂いの場合は、
「タイヤの内側だけが異常に磨耗する」
といった症状がでます。
これは極端な「ハの字」になっている事で、タイヤの内側だけが接地しているので内側しか磨耗しないのです。
たまにわざと極端なハの字にしているクルマを見かけますが、タイヤの内側の減り方は尋常じゃないです(笑)
わかってやっていると思いますので特に何も言う事はありませんが、タイヤの寿命はかなり短くなります。
接地面積が少ない分、もちろんグリップ力は全く期待できません。
もちろんこれでもか!というくらいの旋回スピードを続けていればよいのでしょうが、そんなに継続しながら
走行する場面ってありませんからね(汗)
タイヤの減り方の部分で一つ注意があります。
「前のタイヤの方が後ろよりも減るのが圧倒的に早い」
といった事象はいたって普通です。(この事象は前輪駆動車)
クルマには
「前輪駆動」
「後輪駆動」
「4WD」
といった駆動方式の違いがありますが、基本的に駆動されているタイヤは駆動されていないタイヤに比べて
減りが早くなります。
決してホイールアライメントの狂いでは無いのでご安心ください。
「そういえば特定のタイヤだけ減り方が変だなぁ…」
と言う方は、いつまでもタイヤを頻繁に交換していては損ですよ!
ホイールアライメントを調整した方が経費削減になる場合もあります。
※ホイールアライメントは作業内容によって工賃が大きく変動しますのでここでは皮算用を控えておきます。
ホイールアライメントが整っていれば、タイヤの磨耗は遅いです。
実は、非常におおざっぱではありますが車検でもちゃんと検査されている部分なんですよ☆
⇒車検で確認する事
タイヤには意味がある角度が付けられている!
角度が狂うと走行安定性の低下はもちろん、タイヤの消耗が早い!
以上を覚えておいてくださいね♪
少し難しい説明が続いてしまいましたが、要はタイヤを強くぶつけてしまうと傷だけではなく、ホイールアライメントを
狂わしてしまう可能性があることを覚えておいてください。
ホイールアライメントが狂うと、タイヤの交換周期が非常に早まる事になります。
変だと思ったら、まずはお店で検査してもらいましょう。
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