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結露対策:窓が曇る理由と対策方法 | ||||||
雨の日や寒い日などに自動車を運転中、誰でも窓の内側が曇ってしまう経験をした事があると思います。 この曇りは自然現象による物ですので、どれだけ嫌だと思っても文句を言う相手は存在しません。 仮に自動車メーカーや販売店に 「窓ガラスが曇って前が見にくいじゃないか、どうしてくれるんだ!」 なんて言っても、人間に体温+水蒸気を放出する機能が備わっている以上、密閉空間であれば必ず窓ガラスの曇りは生じます。 車のデザインやレイアウトによって曇りやすい、曇りにくいというのは確かに存在しますが、開発者も車内の気流を考慮してさまざまな工夫を施した結果ですので、とにかく今お乗りの車の特徴を受け入れながら何らかの対策を施す必要があります。(実はエアコンの送風も全て計算されています) どうしてもというなら、皆さんの体温を変温動物のように外気温と同程度にして、さらに水蒸気を排出しない生物になるしかありません(笑) |
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結露が嫌なら変温動物になりましょう(笑) | ||||||
一般的にこの曇りは「結露(けつろ)」と呼ばれています。車の窓ガラスだけでなく、お風呂場にある鏡、冬季や雨天時であれば家の窓も結露しやすい状況になります。 確かに結露は自然現象ですので、何も意識しなければ条件が揃った時点で必ず発生します。 逆に結露が生じる原因をしっかりと把握し、条件が揃わないようにする事ができれば、結露を未然に防止することが可能になります。もちろん結露によって窓ガラスが曇ってきても、迅速に対応する事が可能になります。 という事で、このコンテンツでは結露によって窓ガラスが曇る原因と対策方法についてお話ししたいと思います。 まず結露を考えるうえで非常に重要となるのが「湿度」の考え方です。 私はまじめに勉強をしていなかった学生の時、TVでやっている天気予報で 「湿度90%ですので、非常に蒸し暑い日が…」 なんて言われると 「もうすぐで水没するやん!?」 な〜んて思ったりもしていましたが、そんな事が起こるはずもなく(笑) 実はこの湿度という考え方はちょっぴり面倒な所がありまして、簡単に言えば湿度100%という状態は 「ある気温において、空気中に取り込む事ができる水蒸気が限界(飽和)の状態」 を意味しています。 以下のグラフは、気温と飽和水蒸気量の関係を表していますのでご覧下さい。 |
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気温と飽和水蒸気量の関係 | ||||||
冬季をイメージしやすい気温が5℃の時の飽和水蒸気量は6.79g/m3ですが、猛暑日の基準となる35℃の場合ですと39.6g/m3であることが分かります。 つまり同じ量(1m3)の空気中に存在できる水蒸気量が、冬季と猛暑日とで約5.8倍も変わっていることになります。 まとめますと、湿度というのはある温度域における飽和水蒸気量に対して何パーセントなのか?という事であり、気温が変われば基準値が変わるという事です。 (例)気温25度の時の湿度50%=23×50%=11.5g/m3 それではこれを踏まえて車の窓が曇る理由を考えてみましょう。 最も窓が曇りやすい冬の寒い日を例に取りますので、しっかりイメージしてくださいね。 まず車の外は気温5度くらいでイメージしてください。 鼻から息を吸うと、鼻の奥がキーンと痛くなる寒い日です。 逆に車内はというと、運転手であるあなたと助手席に付き合ったばかりの恋人が乗っている状態としましょう。 人間は平均して体温が36度前後ですので、窓を閉め切った車内の温度はどんどん上昇していきますね。 さらに人間は呼吸をする事で水蒸気をたくさん含んだ空気を放出しますので、車内の温度と湿度は嫌でも上昇していきます。 しかも隣には恋人が座っている訳ですから、いつも以上に興奮して車内の温度と湿度はグングン上がっていきます!って、このシチュエーションはいりませんかね(笑) 例えばこの環境下で、密室とも言える車内の温度が25度・湿度50%に上昇したと仮定しましょう。 |
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気温20度・湿度50%の時 | ||||||
グラフを見てみると、25度・湿度50%の時は11.5g/m3の水蒸気が車室内に存在している事になりますね。 この時、車内と車外とを隔離しているガラスに注目です。 ガラスは外気温や走行風によって非常に冷たくなっており、例え車内が25度になっていたとしてもガラスの温度は非常に冷たい状態です。 常に走行風に当たっている状況であれば、外気温よりも冷えている可能性も充分に考えられます。 キンキンに冷えたガラスによって車内側のガラス表面付近にある空気は冷やされます。分かりやすいように、ガラス表面の雰囲気温度が5度にまで冷やされていると仮定しましょう。 しかし元々、気温25度+湿度50%の状態で浮遊していた水蒸気が車内には存在していますので、5度まで冷やされたガラス面周囲の空気から見ると、すでに飽和水蒸気量を上回る状態となってしまいます。 ※影響が全くないとは言えませんが、理解しやすいように車内からガラスが温められる事は無視してください |
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結露のメカニズム | ||||||
上のイラストは、車室内にも関わらず、ガラス内側の狭い範囲だけが5度(6.79g/m3で飽和水蒸気量)になってしまった状態を表しています。 車室内には11.5g/m3の水蒸気が含まれている状況ですので、ガラスによって冷やされた一部の領域に限って湿度が169%の状態になっていると考える事ができます。 つまり空気中に存在できない水蒸気が、単純計算すると「6.79−11.5=−4.71g/m3」生じる事になりますので、水蒸気として空気中に存在できなくなって居所を失った4.71g/m3の水蒸気は、付着しやすいガラス表面に集結して水として存在する事になるのです。 これがいわゆる結露ですね。 結露に至る最も大きな原因は、温度が下がることで空気中に存在できなくなった水蒸気が集まった結果だとご理解ください。言い方を変えると、仲間外れにされた水蒸気達という事です(笑) ではこの結露を車で防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか??? 単純に考えると、ガラス表面の雰囲気温度を上げる事ができれば、空気中に取り込める飽和水蒸気量が増えます。しかし絶対的に冷やされるガラスが主原因となっていますので、そこを解消するにはハードルが非常に高そうです。 根本的に、冷えている場所と温かい場所の温度差が原因という事は、車内と車外の環境(温度・湿度)を同じにしてみてはいかがでしょうか??? 環境を同じにしようと思うと、極端な例がオープンカーになりますが…。 それはごく限られた環境ですので、普通に全てのドアガラスを全開にしましょう。 これは言うまでもなく結露が生じにくい状況になります。 ※結露後に行うと、結露によって付着した水蒸気がなかなか蒸発しませんので手遅れです。 しかし冬の寒い日にドアガラス全開で走行するのは現実的ではないですよねw という事で、車における窓の曇りは皆さんも普段使用していると思われるデフロスタが活躍する訳です。 この温泉みたいなマーク見た事ありませんか? |
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フロントデフロスタ | ||||||
マークを良く見てみると、フロントガラスに風が当たっている様子が描かれているのが分かります。 これは結露を除去するために備えられているデフロスタという送風システムを表しています。 デフロスタは強制的にフロントガラス(前面ガラス)に送風するだけでなく、ほとんど空気中に水分を含んでいない除湿された空気を送風します。 除湿されている理由は「エアコンシステムを経由した空気」を使用しているからです。 エアコンを付けっ放しで寝ていたら、喉がカラカラになってしまった経験ってありませんか??? っていう私は頻繁にやってしまうのですが…。 エアコンシステムには取り込んだ空気を、氷のように冷たくなったエバポレータという部品を通して送風します。 つまり取り込んだ空気を急激に冷やす事により、存在していた水蒸気はエバポレータ表面から通気口にかけて付着する事になります。車のエアコンを付けて駐車していると、車両下部に水が溜まる原因はこれが理由です。 ※エアコンシステムに関して気になってしまった方、復習したい方はこちらで。 ⇒エアコンの仕組み ⇒エアコンの冷凍サイクル ⇒ヒーターの仕組み さてさて話しを戻しますが、フロントガラスが曇ってしまった所へ送風角度が計算されたカラッカラの空気を当てると…。 言うまでもなく瞬時にガラスに付着している水分が送り込まれた空気へと蒸発し、曇りが取れるという事です。除湿した空気が出てくるドライヤーと考えてください。 最近主流になったオートエアコンでは、デフロスタスイッチを押す事で強制的にエアコンON(送風だけでなく、除湿を行う)状態になります。 しかし手動操作のマニュアルエアコンの場合は、デフロスタを使用する時は意図的にエアコンシステムをON(A/CスイッチON)する必要があります。 A/Cスイッチって何だ?な人はこちらを参照してください⇒エアコンのスイッチを使いこなそう! 前方の視界はこれで良いとして、車庫入れなどで多用するリアガラス(後部ガラス)はどうすれば曇りを取ることができるのでしょうか??? って普段運転している皆さんにとっては愚問かもしれませんが、「熱線」ですよね。 |
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熱線 | ||||||
熱線はガラス表面の温度を直接上昇させる事ができますので、外部がどれだけ寒くても室内側の表面温度が高く、曇りを防止ならびに消す事が可能です。 弱点としては非常に多くの電力を消費しますので、渋滞時などのバッテリ上がりへの影響やオルタネータ(発電機)への負荷増大に伴う燃費悪化でしょうか。 それでも視界確保のほうが重要ですので、曇った場合はためらわずに使いましょう。 中には、 「フロントガラスにも熱線を使用したらいいんじゃないか???」 という発想をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、そこには色々な障害があります。 まずは敢えて物理的な視点でネックとなるのがフロントガラスの面積です。 視界確保に必要な面積が非常に広く、また即効性を保つためには相当な間隔で熱線を設置する必要があります。 リアウインドの場合は前方視界ではありませんので、考えようによっては緊急性は高くありませんが、前方視界は即効性が重視されるのです。 「いや、でも工夫をすれば何とかなるんじゃないか!?」 と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はフロントガラスには車検ステッカーと12カ月点検ステッカー、検査標章以外は貼り付けることができません。 これらも基本的には、視界確保のためにフロントガラス上端部から20%の範囲内に貼り付けなければいけないと法律で規定されていますので、仮にフロントガラスに熱線を施そうと思っても、上端から20%の範囲だけしか許されません。 それほど厳しい規制がかかっているフロントガラスに対して、相当な密度で熱線を張り巡らせる事は確実に視界不良につながりますので法律が認めるわけもありません…。 例外的にワイパーの定位置(フロントガラス最下部)付近には熱線の設置が認められています。 |
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フロント熱線 | ||||||
これは寒冷地などにおけるワイパーの固着防止ならびに堆積する雪を解凍するためです。 もちろん視界不良に至らない位置である事と、視界確保に欠かせないワイパーが正常に作動しなくなる事の方がリスクが高いという観点から、例外的に認められている装置という位置づけです。 という事で、現時点でできる簡単な結露対策は除湿を行った送風が一番という事ですね。 窓が曇り始めたら、びっしりと結露する前に早めのデフロスタ。これが一番です。 それでも結露しやすい、結露が大嫌いだという方のためにワンポイントアドバイスです。 結露は仲間外れにされた水蒸気の集合だと先述いたしましたが、彼らは空気中を漂っている最中にガラスと接触する事で自らの居場所として付着します。 その時に付着しやすい・しにくいを左右するのは、ガラス表面の状態です。 何が言いたいかと言いますと…。 ガラス表面に見えない汚れがあると、水蒸気にとって掴みやすい持ち手が付いているのと同じ! という事です。 例えばタバコのヤニが付着しているですとか、こまかな塵などが付着していると、綺麗に清掃されているツルツル状態に比べると非常に結露が発生しやすい状況という事です。 ガラスの内側は急に汚れる事が少ないのですが、車室内に入ってくる空気というのは道路上の空気が主です。 道路上と言えば排気ガスを代表とする極小微粒子が含まれている空気ですので、嫌でもガラスなどに汚れが堆積します。 徐々に汚れが堆積していきますので見た目にも実感する事はあまり無いとも言えますが、油分を含んだような汚れが確実に堆積しています。 通常の水拭きでもある程度は綺麗になりますが、数百円で手に入る窓専用のフクピカなどを活用してガラス内側を綺麗に保つ事が非常に有効な結露対策であると覚えておいてください。 |
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窓フクピカ(くもり止め強化タイプ)でガラス内側を常に綺麗に! | ||||||
これはフロントガラスに限らず、ドアガラスやリヤガラスも同様です。 自動車専用というのはありませんが、結露防止スプレーを活用してみるのも一つの手ですね。 ただし自動車に限っては前後に結露解消機構であるデフロスタや熱線を備えていますので、その効果を実感できるのはドアガラスが主になるかもしれませんね。 以上をまとめますと、 ・結露はガラス内側周辺と車室内の温度差によって生じる飽和水蒸気量の差が原因 ・結露したらデフロスタ&熱線 ・結露の未然防止には窓専用のフクピカ という事です。 安全運転のためには視界確保が非常に重要です。 結露は事故に直結する自然現象ですので、しっかりと原因と対策を理解しておきましょうね♪ |
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