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トルクレンチの使い方(プリセット型) |
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トルクレンチの中でも、最も多く使われているプリセット型トルクレンチの使い方についてここではご説明いたします。 トルクレンチの使い方は工具の使い方の中で最も多くの方が知りたい部分だと認識しており、珍しく動画で実際にトルクレンチを使っている模様をページ下部にて公開していますのでご活用願います。 プレート型のトルクレンチ(TOHNICHIオフィシャルページへ)を使いたいという方へアドバイスです。 プレート型は使い方を誤ると正確なトルクが出ませんので、ある程度の練習が必要だと考えてください。 つまりサイトなどで検索して使い方を調べるだけでは不十分だという事です。 |
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使い方を調べる時点でプレート型は使用しない方が良いと私は判断いたしますので、ここでご紹介しているプリセット型でご対応願います。 どうしても!という方は、正しい使い方を知っている方から実際に教えていただきましょう。 では順番にトルクレンチを使う手順をお話ししていきます。 @締め付けるボルト(ナット)の締め付けトルク(締め付け力)を確認する これはサービスマニュアルや取り付け説明書でご確認ください。 要は「何キロ(ニュートン)で締めるのか?」という事です。 |
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サービスマニュアルで締付けトルクを調べる | ||||||
トルクレンチの種類によって単位が『kgf.m』と『N.m』とに分かれていますので、使用するトルクレンチの単位を確認する必要があります。 世界的に締め付けトルクの単位が「N.m」(ニュートンメートル)に統一されましたので、ここ数年の間に発売されたトルクレンチは基本的に「N.m」表示となっているはずです。 ただ、今までずっと「kgf.m」という単位に馴染んでいるのでついつい「kgf.m」を基準に考えてしまうのが現実です。 でもほとんど変わらないんですよ(笑) N.mはkgf.mに対してほぼ10倍(細かく言うと9.8倍です)ですので、今まで1kgf.mだったトルクが約10N.mになるだけです。 個人的にはあまり意識する必要は無いと思っています。 参考までに、ボルトのねじ山部の太さ(M●●で表現します)によって決められている基本締め付けトルクを載せておきます。 ただし、ボルトの素材や締め付ける部品の役割によってトルクは大きく変動します。 あくまでも一般的な鉄製ボルトの締め付けトルクですのでご注意ください。 単位は kgf.m (N.m) の順番です。 M5 ボルト、ナット ⇒ 0.5 (5) M6 ボルト、ナット ⇒ 1.0〜1.2 (10〜12) M8 ボルト、ナット ⇒ 2.2〜2.6 (22〜26) M10 ボルト、ナット ⇒ 3.5〜4.0 (34〜39) M12 ボルト、ナット ⇒ 5.5 (54) といった感じですね。 M●●だと分かりにくいかもしれませんので、平均的なボルトの頭のサイズも載せておきますね。 M5 ⇒ 8〜10mm M6 ⇒ 10mm M8 ⇒ 12mm M10 ⇒ 14mm M12 ⇒ 17mm これらの数値はあくまでも参考値という事をお忘れなく…。 ここから少しだけマニアックなお話しをしますので、無関係な方は手順2までスクロールしてください。 クローフットレンチのように取り付ける事でレンチの長さに影響してしまう工具をトルクレンチにセットした場合は、サービスマニュアルに記載されている規定トルクを使用してはいけません。 例えばこういう組み合わせをする時です。 |
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トルクレンチとクローフットレンチの組合せ | ||||||
クローフットレンチを取付ける事で、物理的にレンチとしての長さが変わってしまいます。(長くなる) しかしトルクレンチが締付けトルクを検知する位置は変わりませんので、長くなってしまった分を踏まえてトルク値を計算して設定する必要があるのです。 ここからトルクレンチの長さを延長した際の正しいトルク設定を行なう手順をご紹介いたしますので順番にご覧ください。 まずはトルクレンチの有効長を測定しましょう。 有効長とは、ソケット差し込み凸部中心点からトルクレンチの手力線(力点)までを言います。 ※手力線は拡大写真を含めて後ほどご説明します。 |
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トルクレンチの有効長 | ||||||
次に取付ける工具も長さを測定します。 クローフットレンチの場合は、ソケット差し込み口中心からボルト/ナット差し込み口中心の長さです。 |
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クローフットレンチも測定 | ||||||
ではここまで測定できた数値を踏まえまして…。 仮に締付けようとしているボルトの規定トルクが45N.mであった場合、設定値の計算方法はこうなります。 |
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延長時のトルク計算方法 | ||||||
何だ、算数の解説ページか!?というお気持ちも分かりますがそうではありません(笑) 改めまして、トルクレンチを延長した際のトルク値計算方法は以下となります。 「規定トルク×有効長÷(有効長+延長分)」 滅多に計算する事はないはずですが、せっかくトルクレンチを使うのですから、正しいトルク値で設定してくださいね。 Aトルクレンチの締め付けトルク設定を行う トルクの設定方法はメーカーによって様々ですが、基本的な構造に大差はありません。 ここでは非常に多く普及しているTOHNICHI(東日)製のトルクレンチの設定方法をお話ししていきます。 まずトルクレンチ末端にある「ダイヤルロックねじ」を緩めます。 |
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ダイヤルロックねじを緩める! | ||||||
次にトルクレンチのダイヤルを回し、目的のトルク値に合わせる。 | ||||||
ダイヤルを回してトルクを設定! | ||||||
ダイヤルを回しながら「ダイヤルゲージ大(目盛大)」でおおまかなトルク値を確認し、設定したい値に近づいてきたら「ダイヤルゲージ小(目盛小)」で微調節します。ちなみに設定方法に細かいルールはありません…。 目的は「正しいトルク値の設定」ですので、目的さえ達成できればOKだと思います。 トルク値の設定が完了したら、トルクレンチを使用している最中にダイヤルが不用意に回ってトルク値を変動させないため、ダイヤルロックねじを必ず締めておきます。 |
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ダイヤルロックねじを締めておきましょう。 | ||||||
ここまでの締め付けトルク設定作業をYouTube動画で用意していますのでご確認ください。作業の流れは上記手順と同じです。 | ||||||
Bボルト、ナットをトルクレンチを使って締め付ける ここまで準備ができたら、早速トルクレンチを使ってボルトを締め付けましょう。 実はトルクレンチの締付けに関して、プロでも多くの方が意識していない事がございまして…。 それは力を掛けるべき手力線(基準点)というものが存在しているという事です。 トルクレンチのグリップ部には必ずこのような線が入っています。 |
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トルクレンチの手力線(基準線) | ||||||
一番の理想は、この手力線に指を一本だけ引っ掛けて締付けることです。しかしそれは締付けトルクが低い時しかできませんので、一般的には 中指を手力線に掛け、中指を意識しながらグリップを握りこんで締付け を行なう事で、正確なトルクレンチの使用方法として認識されています。 ただしこれもトルクレンチを正しく握りこめる時だけに限られますので、現実的には必ず守れるルールではないのが実情です。 基本的に、プリセット型トルクレンチにはラチェットハンドルと同じ機能が備わっていますので、いつも通りにラチェット機構を楽しみながらボルトを締め付けていきます。 そして徐々にトルクが上がり、目標のトルク値になったら 「カチッ!」 という音と共にトルクレンチのヘッド部が少し折れ曲がり、一瞬力がボルトに伝わらなくなります。 この時点で設定した締め付けトルクに達しているという事ですので、速やかに力を抜きましょう。 |
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カチッと音が鳴った位置で力を抜きます。 | ||||||
この「カチッ」を無視して更に締め付ける事ももちろん可能ですが、それだとトルク設定した意味がありませんよね(汗) 「そろそろカチッてきそうだなぁ…」 という感覚が身に付いてきますので、カチッときた位置ですぐに力を抜けるように練習しましょう。 という事で、実際にトルクレンチを使って締め付けている様子をご覧下さい。 「カチッ」という音もちゃんと聞こえますのでご確認くださいね♪ |
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この「カチッ」という音は締め付けトルクが高いほど大きくなります。 トルクが1kg程度だとほとんど聞こえないかもしれませんが、手に「カクッ」という折れた感触が伝わってきます。その小さな合図を見逃さないようにしてください。 トルクレンチのメーカーによってこの音や感触が異なりますので、トルクレンチ選びの一つの指標にするのも楽しいですよ♪ スナップオンのトルクレンチは高額な分、音と感触まで高級感があって病みつきになりますよ(笑) |
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★トルクレンチの実際の価格はこちらを参考にしてみてください★ ※トルクレンチを選ぶ時は「トルク設定可能範囲」に注意しましょう! ⇒ トルクレンチ ⇒ ワイドレンジプリセット型トルクレンチ ⇒設定範囲が一番広く、一番使えるトルクレンチです♪ ⇒ スナップオン製トルクレンチ ※スナップオンは永久保障付属の問題から、正規代理店以外では手に入りにくい工具ですのでオンラインではあまり出回りません。 当サイトではリアルタイムの値段を確認していただけるように、あらかじめ楽天市場で絞込検索を行ったリンクを貼り付けています。(工具類は値段が変化しやすいため) そのため、楽天市場内で該当商品が全く販売されていないタイミングが稀にございますので、その際はお手数ですがその他サイトで確認するなどの対処をよろしくお願いいたします。 |
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おかげ様でカーライフサポートネットは数百ページに渡る規模になりました v(≧∇≦)v
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関連リンク
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