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花粉や凍結防止剤などによる、自動車の塗装面へのダメージ


花粉による塗装面へのダメージ???

という方もいらっしゃるかと思いますが、理解していただきやすいように順序立ててお話ししていきますので
冒頭から順番にご覧くださいね♪


皆さんはどれくらいの頻度で洗車をしていますか???


「新車で買った頃は頻繁にやってたはずなのに、今は1か月に1回やったらいい方かなぁ…」


ですよね…。


新しい車の場合は洗車後の輝きがとても綺麗なので、洗車した後の満足感というか

「やった甲斐があったなぁ♪」

と思わせてくれる所が余計に洗車欲を沸き立たせてくれますよね ( ̄∇ ̄+)

他にも綺麗な状態で運転しているとなぜか誇らしいというか、どこに停めても恥ずかしくないような錯覚?さえ芽生えます(笑)
裏を返せば汚れに汚れた状態では、少し繁華街に行くのを躊躇してしまったり…。
って、この感覚は誰もがそうとは限りませんかね (^▽^;)

とにかく「洗車=綺麗な車にして体裁を整える」といったイメージが先行しているのが大半を占めるのではないでしょうか。

確かに私も洗車をする目的は綺麗な状態で気持ちよく外出したいという事が大半の目的になりますが、実はそれだけではありません。

水洗いをして現在の車両状態(コーティングなど)に合わせたシャンプーをし、綺麗にふき取る。
もちろんコーティングなどを施行していない人はWAXを掛ける手順もあるでしょうし、コーティングを施行している人も
定期的なメンテナンスポリマーを掛ける事もあります。

これら一連の流れを丁寧にやろうとすると2時間程度を要すると思いますので、休日のスケジュールの中に
がっつりと食い込む事になるのも事実…。
となりますと、なかなか定期的に実施できない場合が多いのも納得です。

さてさて、ここからが本題です。

洗車は見た目を綺麗にするというのは大切な目的ではありますが、これはあくまでも所有者(使用者)から見た観点です。
しかし車の立場から見た洗車の目的という考え方を忘れてはいけません。


洗車=外的物質を除去し、外観・機能損失を防ぐための予防整備


ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、実は洗車という作業は車にとって非常に大切な事なのです。

最も分かりやすい例で言いますと、凍結防止剤(主成分=塩化カルシウム)が散布されている道路を走行した後処理ですね。

凍結防止剤…つまりは融雪剤ですが、主成分である塩化カルシウムに含まれている塩化物イオンの働きによって
鉄を著しく錆へと進行させる働きがあります。(なぜそうなるのかは難しい化学の世界なので割愛します)
これは海の近くにある鉄でできた構造物がすぐに錆びるのと同じで、鉄にとって塩分というのは天敵なのです。

自動車もまだまだ鉄を主成分として製造されていますので、走行する事で巻き上げられた凍結防止剤が車全体に付着する事になります。
特に凍結防止剤を直接巻き上げるタイヤ周辺はその影響を大きく受ける事になります。


適切な防錆処置を行わなかったボディ適切な防錆処置を行わなかったボディ


車の塗装は見た目(ルックス)の向上と共に防錆の役割もありますので、塗装面に付着した塩分はそれほど大きな影響は受けません。
ただし道路を走行していると飛び石やタイヤで巻き上げた石などで気が付かない所で塗装がはがれてしまっている物です。
さらに言えば、車を製造する際に塗料が入りこまなかった狭い隙間などに何らかの要因で塩分が侵入してしまい、
それが原因で錆の進行が始まる事も起こりえます。
※車に使用されている鉄板には防錆処理が施されていますが、溶接時に生じた局部的な防錆処理が取れてしまっている部位などが錆の起点になります。


といった具合に、車が鉄で製造されている以上は常に塩分は天敵なのです。
この天敵が明らかに散布されている道路を走行したとなりますと、丁寧な洗車までは必要とは言いませんが

「最低でも隅々まで水洗いをして塩分を洗い流す」

事が重要だと感じていただけると思います。
この時に大切なのは、車の外周だけでなくタイヤの裏にあるサスペンションや車底部も全て綺麗に洗い流してあげる事が
重要だという事ですね。
このメンテナンスを完全に無視して使用していると、地域によっては新車購入から3年以内という短期間で恐ろしいほどの錆が進行して
取り返しがつかない事になります…。
実際に錆が進行しすぎて、走行中に足廻りが脱落〜走行不能…という事例もありますからご注意くださいね。


他にも厄介な外的物質の代表として鳥のフンがありますね。

こちらは錆へと進行する事は滅多にありませんが、大切な車の塗装面を著しく攻撃します。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、鳥のフンは非常に強い酸性です。
その酸性が塗料の樹脂成分を侵して塗装面の艶を奪うだけでなく、最悪の場合はヒビ割れにまで進行する事があります。

ヒビ割れまで進行するとコンパウンドなどの研磨剤を使用しても後の祭り…。
部分的な再塗装を行わなければ元の姿に戻る事はありません(涙)

さらにヒビ割れしている部分から水分、塩分が入り込む事で錆へと進展し、徐々に錆が広がっていって…という最悪の事態も起こりえます。
実は鳥のフンだけではなく他の虫(蜂など)のフンも同様ですし、虫の死骸も塗装面を侵す要因になります。


虫の死骸を放置した事によるシミ虫の死骸を放置した事によるシミ


虫の死骸による染みは、コンパウンドで研磨しても簡単には取れません。
その割に、手で触っても全然分からない状態ですので、完全に塗料そのものが変質してしまっている感じですね。


これらの外的物質を綺麗に除去する事が、見た目だけでなく車にとって重要な事であるという理由をお分かりいただけましたでしょうか。

さて前置きが長くなりましたが、ここからが意外と知られていない部分です。


春が近付くにつれて世間一般を騒がすのは花粉ですね。
花粉症の人から言わせると

「鼻をもぎとってやりたい!!!」

とか

「目を取って洗いたい!!!」

いった、まるでホラー映画を連想させるような事を本気で訴えている人を毎日のように見かけます…。

花粉症は体内の抗体が過剰反応して起こっている?と言われていますが、実は花粉の影響は人体だけではありません。

ええ。

実は車の塗装面にも甚大な影響を及ぼします。

まずはこちらをご覧ください。


ウォータースポット!?ウォータースポット!?


経験がある人であればすぐに思いついたと思いますが、雨上がりなどで塗装面に付着した水分が蒸発して生じる
「ウォータースポット」と呼ばれる状態ですよね。





ですよね〜。





というか、そうとしか思えないですよね!?





では本題に戻りますが…。

この状態で洗車をしても全然綺麗な状態に戻らないとなると、コンパウンド(研磨剤)を使って表面を軽く削る必要があるなぁ…と、
ちょっと知っている人ならすぐに思いつくはずです。

ウォータースポットはイオンデポジットと呼ばれる塗装表面に付着する頑固な固形物※ですので、コンパウンドを使用しないと
除去できない事が多いですから当然ですよね。
※ダメージが大きい場合は、局部的な凹みが生じます

さて、先程見ていただいたウォータースポットですが…。

実はコンパウンドで研磨を行っても全然綺麗にならないのです。


「嘘だ!表面に付着している物が研磨で取れないわけがない!!!」


と思う気持ちは分かりますが、綺麗になるまで研磨すると表面のクリア塗装(艶出し塗料)が無くなるレベルまで行わないと、
このウォータースポット?は除去できないのです。


何となくお察しだと思いますが、実はこのウォータースポットのように見える部分は花粉の成分による浸食が原因です。


自動車の塗装面にある花粉によるシミ自動車の塗装面にある花粉によるシミ


花粉は水に触れると、花粉表面の殻が破れてペクチンというタンパク質成分が溶け出して塗装表面にある
小さな凸凹の中に入り込みます。
その状態で水分が蒸発して乾燥する際に成分が収縮し、周囲にある塗料を巻き込んで収縮してしまいます。
これによって塗装面が元の状態よりも大きな凸凹状態となり、まるでウォータースポットが生じたかのような見た目になるのです。
(触感ではほとんど分からない程度の凸凹です)

この状態で表面研磨を行っても、凸凹になった部分を全て除去するまでは綺麗にならない事がお分かりいただけると思います。
表面に異物が付着したという事象ではなく、根本的な塗料が収縮していますので、削るという概念はあまりお勧めできないのです。
※削る方法がお勧めできない訳は後述します


「じゃあ何か有効なケミカルがあるの?」


という考え方も分かりますが、実はこれといったケミカルは現時点ではありません。

花粉によるシミを除去するには、とにかく「熱」を与えて成分を蒸発?させる事が最も有効だと言われています。
私も実際に除去作業を行った事がありますが、加熱処置が最も簡単かつ綺麗になる事を体験済みです。

最も簡単に加熱する方法としては「ドライヤー」ですね。
 ※プロが使用するヒートガンは超高温になるため、普通のドライヤーを推奨します


表面温度が〜80度程度まで上昇するようにドライヤーを当てると、魔法を掛けたようにシミが取れていきます w( ̄Д ̄;)w


「駐車場に電気なんか無い!」

という場合は、タオルをシミ部に置いた状態で熱湯を掛けて放置していれば良いでしょう。

実は花粉のシミに対してコンパウンドをお勧めしていない理由がもう一つあります。
ある意味唯一とも言えるシミの除去方法が加熱なのですが、加熱処置を行う前にコンパウンドで表面を研磨してしまうと、
塗料の凸凹に入り込んでいる花粉成分の上方出口を塞いでしまう(埋めてしまう)事になり、後で加熱処置を行っても
成分が蒸発する出口を失い、結果的にコンパウンドで全て削り落すという方法しか残らない状況になりかねません…。

つまりコンパウンドを施行した後に花粉だと気づいて、そこからドライヤーなどで加熱を行っても…
かなり取れにくい状況に陥ってしまった後だという事ですね(涙)


ちなみにこの花粉による塗装面への攻撃性ですが、鳥のフンと同等レベルだとお考えください。
つまり塗装面全体に鳥のフンが付着している状態と同等だという事です。

この季節になると、当たり前のように車の表面には花粉と黄砂が堆積していますね。


花粉と黄砂が堆積!花粉と黄砂が堆積!


この状態で「通り雨⇒晴天で乾燥」といったシチュエーションがあると最悪です…。
特にボンネットなどの平らな部分で、水分を含んだ花粉がその場に留まり、さらにそのまま乾燥してしまう状況です…。

もちろん一回だけこのようなシチュエーションに遭遇したからといってすぐにシミになる事はありませんが、
花粉が異常なほど飛散している昨今では、工場出荷された新車でも花粉のシミが無数に存在している状態が当たり前のように
発生しています。つまり花粉が塗装面に付着してから、場合によっては短期間で一気に収縮状態にまで進行する可能性が
あるという事ですので早急な対処が必要なのです。

花粉の季節はこまめな洗車が非常に大切という事を肝に銘じておいていただけると幸いです。

黄砂というキーワードが出てきましたのでついでにお話ししておきますが、黄砂にはシリカやカルシウムという成分を多く含んでおり、
これは通常の雨水よりもウォータースポット(イオンデポジット)がとても発生しやすい状態です。

花粉に加えて黄砂も飛散しまくっているこの季節…。

水洗い+拭き取り程度の簡単な洗車でも充分ですので、とにかく塗装面を攻撃する物質を定期的かつ早急に洗い流す
メンテナンスが大切だという事を覚えておいてくださいね♪

このように、洗車というのは車を外的要因から守るためにも非常に重要な役割があります。

今は外傷が付きにくい洗車機(ソフトブラシ)もありますので、手洗いが面倒だという方はこれらを有効活用すると、
長年に渡って綺麗な塗装面を保つ事ができますよ v(≧∇≦)v


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