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ホームブレーキ装置基礎編



ABSとは?



ABS標準装備!

といった表現は頻繁に耳にしますよね。
ABSは今やもう99%の車に標準装備されているほど、当たり前の機構として
装備されています。

そんな当たり前の機構なのに、結構勘違いしている人が多いのもABSの特徴です。

多分8割以上の方がABSをまともに作動させる事はできないでしょう(笑)


ABS(アンチロックブレーキングシステム)』


という言葉を聞いて皆様はどのようなイメージをお持ちでしょうか?



「ブレーキが楽!」

「停止距離が短くて済む!」

「とにかく安全なんでしょ?」




という意見が多発するのは予想していましたので、

まずはみなさんに事実を知ってもらうとしましょう☆


「今までABSを作動させた事が無い人には、ABSを完全に作動させる事ができない」


これはほぼ間違いありません。


今は基礎編ですので、ABSの作動原理はお話ししません。(テンパります)

まずはみなさんにABSを使いこなせるようになっていただきましょう☆


「おいおい!使いこなすってどういうことだよ!?」


という意見もそろそろ出てくるのでは無いでしょうか?



実はABSをしっかりと使いこなす事は簡単では無いのです…。


これは昔、私がテストドライバー訓練に行った時に改めて実感しました。

私は何度も訓練したことがあるので全く問題は無かったのですが、初めて急ブレーキの訓練をする
ほとんどの方がABSを使えていませんでした。

素人ではなく、それなりに車の運転に自信がある人がですよ。


「どういうこと?さっぱりわかんないんだけど(怒)」


という方もいらっしゃると思いますが、最後まで読んでいただければ理解できます。


まずABSとはどういうものかを簡単にお話しします。

『アンチロック』

という言葉から想像できるように、タイヤがロックする事を防ぐのです。


「キキ〜〜〜!!!」



このような急ブレーキのイメージが世間にはありますので、タイヤがロックした方が
車はすごく止まる気がしませんか???


実はタイヤがロックすると、タイヤのゴムの抵抗(摩擦)のみで車を止めなくてはいけない
状態に陥っているという事実があります。


車には立派なブレーキ装置が付いていますが、あれは

『タイヤの回転力を落とす』

ために付いているのです。


よ〜く考えてみてください!

タイヤがロックしてしまうと、すでにタイヤは止まってしまっている訳ですからそれ以上タイヤの回転力を
落とす事ができませんよね!(ココ重要です。)


つまりタイヤがロックしてからは、どれだけブレーキを強めても意味がないのです。
あとはタイヤ(ゴム)の抵抗で車が止まるのを待つだけになります。


いかがでしょうか???

ブレーキが機能していないという事は、必然的に停止距離が長くなってしまうと思いませんか???


実はタイヤがロックするとさらに重大な問題が発生します。


それは…。


「ハンドルを切っても曲がらない!」


これはかなり危険ですよね!


車はタイヤがグリップ(滑っていない事)している状態でハンドルを切ると、タイヤが向いている
方向に車(車体)が動きます。

ロックしてタイヤが滑っているという事はタイヤが路面をグリップしていないという事ですので、
当然ハンドルを切っても車(車体)は付いてきません…。


この危険性を再認識してもらうために、前方の車が急停止した場面を例にあげます。


1:前の車が急停止

2:異変に気付き、急ブレーキをかける

3:さらに危険を回避するために、ハンドルを切る


この3番でハンドルを切っても車が曲がらなかったら正面衝突です。

もし曲がっていたら衝突を避けられた可能性は大ですよね。


つまり、ロックすると

1:停止距離が長くなってしまう

2:ハンドルを切っても曲がらない


という重大な問題が発生するのです。


この問題を解決する為に『ABS』は開発されました。


ABSの作動を一言で言うとこうなります。


『ロックしたらブレーキを緩め、ロックしていなければフルブレーキ!』


これをブレーキを踏んでいる時に、自動的に何度も何度も超スピードで繰り返すのです。


さあ、これを踏まえてABSが作動したらどういう事が起こるのかお話しします!


先程の説明に、

「ブレーキを緩め」

と表現いたしましたが、ここが非常に重要なのです。


一般的にブレーキを緩めるという事はどういう操作が必要ですか???


「ブレーキペダルの踏み込む力を緩める」


という操作ですよね。

これはABSも例外ではありません。


ここからが皆様が感じ取る実際のABSの作動です。

フルブレーキを踏んでABSが作動すると…


「ブレーキペダルが連続的に強い力で押し返してくる!」


のです!

さらに、押し返してくる時には大きな音が鳴ります。


「ブリブリブリ…!」


これ本当ですよ(笑)


これを冷静に分析するとこうなります。


『やばいと思って急ブレーキをかけたのに、大きなブリブリ音と共に強い力で押し返される!』



さぁどうですか???


押し返される事を知らずに思いっきりブレーキを踏んだら驚きますよね?

「うわっ!何!?」

と、思わずブレーキを踏み抜けないケースがほとんどなのです(怖)



「ABSが作動すると押し返されるが、決してブレーキを緩めてはいけない!」



これは大変重要です。

実は以前の訓練の時には、事前にこれを教わっていたのです。


「強い反発があるが、床が踏み抜けるくらいの力でブレーキを踏み続けて!」


これを聞いていても、なかなかABSをフル作動できた人はいませんでした。


つまり、

「経験した事がないと本当に難しい!」

のがABSなのです。



「じゃあどうすればいいんだよ〜!」



答えは簡単です。


安全な場所で一度体験してください。(安全第一でお願いします)

事故を起こす前に、ABSの反発力を体感しておいてください。
オススメはジャリ道や雨の時の広い駐車場ですね。
雪道だと時速10キロ程度でも体験できます。


ブリブリと音が鳴るのは、正常に作動している証拠です。


四の五の言う前に、まずは経験!

これが大切です。※くれぐれも安全第一で!


≪体験する前、うまくいかない方にアドバイス≫



最近ではシートをいっぱいに倒して運転したりする方が多いですが、これでは絶対に
ABSが作動するまでブレーキを踏めません!
⇒寝ているような運転方法をしている人はABSは効かないしエアバックにも変な当たり方をするので危ないのです。


運転姿勢(シートポジション)の基本は、

シートに背中(両肩)を付けた状態でブレーキを思いっきり踏んだ時、ハンドルの一番上を両手で強く押せる

事です。

これは普段の運転では最重要です。

この状態で無いと、急ブレーキを踏めない運転をしている事になるからです。


有効な技術も使いこなさないと何の意味もありません。

使う時が無い事が一番なのですが、いざ使う必要があるときに使えるようになっていないと
意味がありませんよね☆

ブレーキは命に関わる一番重要な部分ですので、是非一度体験しておきましょう!

【お知らせ】
自動車整備士3級〜2級レベルのシャシ基礎編として、アイティメディア社が運営している
モノイストというサイトに『今さら聞けないシャシー入門』という内容で記事を執筆しております。(連載終了済)
ABSに関して、当サイトよりも更に高いレベルをお望みの方はこちらもご覧ください。


・第九回 ブリブリ鳴るのは故障じゃなくて、ABSのカラクリ




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